お医者さんのかかり方
いま、医療の現場、なかでもとくに緊急医療の現場は大変な状態になっています。
休日や夜間、軽症の患者が緊急病院にかけ込むケースが増え、緊急患者のたらい回しが発生するなど、緊急性の高い重傷の患者の治療に支障をきたしたり、病院に勤務しているお医者さんへの負担が過重になるなどの原因にもなっています。
一人ひとりがマナーとルールを守って受診すれば、いざというときに必要な人が安心して医療が受けられます。もちろん、限りある医療費という資源も有効に活用できるようになります。
休日や夜間に開いている救急医療機関は、一刻を争う緊急性の高い患者を受け入れるためのもの。平日や日中、病院を受診する時間がないからなどの理由で、自分の都合で救急医療機関に行くのはやめましょう。
また、休日や深夜(22時~6時)に病院・診療所に受診すると、たとえば初診の場合、休日加算2,500円、深夜加算4,800円がそれぞれ医療費(初診料)に加算されるため、家計負担も重くなることを知っておきましょう。
加算の種類と加算額(いずれか一つのみ加算) | |
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時間外加算※
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初診 850円(2,000円※) |
再診 650円(1,350円※) |
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休日加算 その医療機関の休診日である日曜日、祝日、年末年始に診療した場合 |
初診 2,500円(3,650円※) |
再診 1,900円(2,600円※) |
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深夜加算 |
初診 4,800円(6,950円※) |
再診
4,200円(5,900円※) |
- ※もっぱら夜間の救急医療のために診療を行っている地域医療支援病院、救急病院、救急診療所のなかには、時間外加算として初診時2,300円、再診時1,800円を加算するところがあります。
- 地域の医師が連携し、夜間・休日・深夜の急病患者を受け入れるとして届け出を行った医療機関では、それらの時間に診療を受けると、「地域連携夜間・休日診療(2,000円)」、6歳未満では「地域連携小児夜間・休日診療(4,500円、または6,000円)」がかかります。
- ※いずれも健康保険適用。歯科診療を受けた場合は、上記金額にはあてはまりません。
- ※( )内は6歳未満の加算額。
電話での相談にも再診料や時間外加算などがかかることも
急病時に電話でアドバイスする診療所をふやすために、夜間の問い合わせに常時応じる診療所では、再診料に「時間外対応加算50円」をプラスできることになっています。
診療所の診察時間内・薬局の営業時間内でも加算がつくことも
加算の種類 | 加算の時間帯 | 加算額 |
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診療所の夜間・早朝等加算 |
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500円 |
薬局の営業時間内でも、右記の時間に調剤した場合に、調剤料に加算される。 |
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400円 |
Change!
インターネットの情報サイトを活用したり、病気の予防知識を身つけるなど、日ごろから健康管理に気をつけましょう。
また、とくに子どもの急病の場合には、まず電話相談などを利用したりしてみましょう。
大病院は専門的な検査や治療、医師の教育を行う役割をもっています。ちょっと体調が思わしくないから、とすぐに大病院に行くのは、より高度な検査や治療を必要としている患者への妨げとなることもあります。
紹介状なしで大病院にかかると、保険外併用療養費として1,000~5,000円かかる場合もあります。
医療機関 | 初診料 | 患者負担 |
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診療所(19床) | 2,820円 | 850円 |
200床未満の病院 | 2,820円 | 850円 |
200床以上の病院 | 2,820円 +特別料金(※1) |
850円 +特別料金(※1) |
500床以上の大病院(※2) | 2,090円 +700(保険適用外)の一部 +特別料金(※1) |
630円 +700円の一部 +特別料金(※1) |
2,820円 +特別料金(※1) |
2,820円 +特別料金(※1) |
- ※1 初診料と再診料の合計額。検査料等を加えると、その差はさらに大きくなります。
- ※2 ほかの医療機関から紹介されてくる患者がすくない(紹介率が40%未満)の「特定機能病院」や、500床以上の「地域医療支援病院」
通いやすいところにある診療所か200床未満の病院から「かかりつけ医」を見つけて、以前の医療機関の検査結果などを持って受診をしましょう。専門的な検査や治療が生じたら、かかりつけ医から紹介状をもらって、大病院を受診しましょう。
Change!
自宅や勤務先の近くの医院、診療所などにかかりつけのお医者さんを持ち、気になることがあったら、まずはそのお医者さんに相談しましょう。もしも、大きな病気が疑われるようなときには、高度な医療が受けられる大病院等に紹介状を書いてもらうことができます。
同じ病気で、あちらの病院、こちらの病院と何件もの病院にかかるのは、同じような検査がくり返されたり、同じような薬が処方されるので、医療費がかさむだけでなく、かえって体に悪い影響を与えることも。
同じ病院に通う場合 | 転医をくり返した場合 | |
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1回目 | 初診料850円 (+検査料等) | 初診料850円 (+検査料等) |
2回目 | 再診料 220円 | 初診料850円 (+検査料等) |
3回目 | 再診料 220円 | 初診料850円 (+検査料等) |
合 計※ | 1,290円 | 2,550円 |
- ※初診料と再診料の合計額。検査料等を加えると、その差はさらに大きくなります。
Change!
受けている治療に不安があるときには、まずそのことをお医者さんに伝えて話し合ってみましょう。また、「セカンドオピニオン(主治医以外の医師の意見を聞くこと)」という方法もあります。セカンドオピニオンはれっきとした診療行為の一つです、セカンドオピニオンを受けたいと主治医に迷わず申し出てみましょう。
薬を上手に利用しましょう
薬のもらいすぎに注意
薬が余っているときは、お医者さんや薬剤師に相談してみましょう。
のみ合わせによっては副作用が…
お薬手帳を有効に活用して、いま処方されている薬をお医者さんや薬剤師に伝えて、のみ合わせに注意しましょう。
ジェネリック医薬品(後発医薬品)の利用を
先発医薬品よりも費用が安く済みます。
お医者さんや薬剤師にジェネリック医薬品の利用について相談してみましょう。
かかりつけ薬局を持ちましょう
複数の科を受診した場合、かかりつけ薬局で処方してもらうと、薬の重複を防ぎ、薬の飲み合わせを確認することができます。
あわてて病院にかけ込む、その前に
当健康組合の健康相談をご利用ください。
健康相談はこちら。
からだに異変を感じたとき、子どものようすがいつもと違う……などなど、症状について少しでも知識があれば、適切に対応することができます。
こんなときは迷わず救急車を ― いざというとき生命を守ります ―
突然死する原因には、おもに心臓発作と脳卒中があります。
つぎのような症状がある場合には、ためらわず救急車を呼びましょう。
急性心筋梗塞 ・・・・・ つぎのような症状があらわれます
- 胸の真ん中の強い痛み(痛みが強くない場合もある)
- 肩や腕、あごにかけての痛み(痛みがあまり強くない場合もある)
- 胸が締めつけられるような圧迫感(痛みがあまり強くない場合もある)
- 息切れ
- 冷や汗
- 吐き気
- 立っていられない
脳梗塞 ・・・・・ つぎのような症状があらわれます
- 体の片側に力が入らない、しびれを感じる
- ものが見えにくい
- ことばがうまく話せない
- 反応がない
くも膜下出血
- 今までに経験したことのないような(バットで殴られたような)強い頭痛
医療費の領収証・明細書を確認しましょう
みなさんが受診した際、医療費の内容がわかる領収証を無料で発行することが医療機関等に義務付けられています。
平成22年4月からは、レセプト(診療報酬明細書)の電子請求が義務付けられている医療機関や薬局に対し、領収証発行の際、正当な理由がない限り、医療行為や薬剤名など当該費用の計算の基礎となった項目が記載された明細書も無料で発行することが、原則義務化されました。
医師にかかって受ける医療行為や処方される薬剤は、それぞれ点数が決まっていて、1点につき10円で計算されます。領収証にはかかった費用と、大まかな項目の点数小計が記載されているだけですが、明細書には個々の医療行為や使用した薬剤、検査内容などの項目名や点数が記載されるので、自分が受けた医療行為や医療費の詳細を知ることができます。
医療費の領収証や明細書を確認することには(1)治療内容が詳しくわかる、(2)医療と医療費への関心が高まる、(3)コスト意識をもった医療の受け方につながる、というメリットがあります。
なお、確定申告で医療費控除する際には領収証が必要となりますので、自宅へ持ち帰ったらなくさないように整理して、大切に保管しておきましょう。